実家をどうする? 売却・賃貸・そのまま?

相続した家の後悔しない「しまい方」
「実家をどうしたらいいかわからない…」

実家を相続したけれど、使い道を決められないまま数年が経ち、結果的に管理できず、空き家として放置されてしまうケースが少なくありません。

私は50年ほど前に分譲が開始された2,000戸超の団地に住んでいます。各町内には必ずと言ってよいほど空き家・空地があります。雑草が生い茂り、蚊が発生して、近隣の人たちの頭痛の種になっています。

ほとんどの家のお子さんたちは県外に住んでいるため、相続後には普段の忙しい生活に戻ってしまい、実家のことをどうしようかと考える余裕がないのかもしれません。

そうならないために、実家の「しまい方」を親が元気なときからみんなで考えておいたらよいでしょう。実家を「資産」ととらえて、親子で活用できるように前向きな気持ちでアイディアを出し合うことができます。

売却するという選択

将来は誰も住む予定がないのであれば、思い切って売却するという選択肢があります。「親が住んでいた家を売るのは気が引ける」「思い出があって手放しにくい」と感じる方も多いですが、売却によって、必要としている誰かがその家を大切に使ってくれる可能性もあります。

売却すると、固定資産税や草刈り・雪かきなどの維持費を負担することがなくなり、そのお金を親の介護費用や孫の教育資金にまわすこともできます。つまり、“家の想い出”を“未来への支え”に変えることができるのです。

ただし、売却には「タイミング」と「状態」が大切です。古くなった家や立地が不便な家は、買い手がなかなか見つからないことがあります。リフォームや解体の費用が発生することもあるため、親が元気なうちから「売るならどうする?」と話し合っておくことがポイントです。

資産としての価値を確かめておくために、信頼できる不動産会社に売却額の査定をお願いしてみるのもよいでしょう。その際には、売却にかかる手数料や経費も見積もってもらいましょう。

賃貸にするという方法

建物がまだしっかりしていて、立地もそれなりに良いなら、賃貸にして活用するという選択肢もあります。「住まなくなった家が、収入を生んでくれる」なんて、ちょっと嬉しくなりませんか?

もちろん、家の管理や修繕、入居者とのやりとりなどをどうするかは課題になりますが、不動産会社に委託すればその負担はかなり軽くなります。委託料や今後の修繕費を見積もってもらい、具体的に検討することをおすすめします。

そのまま置いておく…のリスク

「とりあえず今は何もせず、そのままにしておこう」と思う方も少なくありません。けれど、これが一番リスクが大きい選択肢でもあります。

空き家のまま数年が経つと、建物の傷みはどんどん進みます。草木が生い茂って害虫が発生したり、不法投棄の対象になったり、ご近所に迷惑をかけてしまうことも。もしも「管理不全空き家」に指定されると固定資産税の住宅地特例が適応されなくなるので、固定資産税が6倍になるケースもあります。

「誰が管理するのか」「いつどう手放すのか」を決めないままでいると、相続人同士のトラブルの原因にもなりかねません。建物付きで売却する場合は、住む人がいなくなると劣化のスピードが速くなることも覚えておいてください。

前向きに考えてみませんか?

実家の「しまい方」は、単に“家をどうするか”だけではなく、“家族のこれから”を考える大切なきっかけにもなります。「もったいない」「寂しい」と思うのではなく、「親子で資産を活かす方法」として前向きに、後悔のない選択をしましょう。

そして、その第一歩は、まず家族で話してみること。元気なうちに「実家のこと、これからどうしようか」と語り合える関係があれば、将来の不安はきっと大きく減らせるはずです。

けれども、「親にどう切り出せばいいのか分からない」という声もよく聞きます。

そんなときに役立つのが、エンディングノートです。上手に使えば、「家」「お金」「気持ち」のすり合わせを自然に始められるきっかけになります。

▶次回のコラムでは、「親子で話すきっかけになるエンディングノートの使い方」をご紹介します。書き方だけでなく、「いつ」「どんな風に」話し始めたらいいかもお伝えします。

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